2025年度 二度目のコンソーシアム会議を開催しました

先日7月30日(水)に開催されたコンソーシアム会議は、本校が目指す教育の現在地と未来を共有する、熱気に満ちた時間となりました。この会議には、コンソーシアム参加メンバーである行政・大学・企業といった多様な機関から、多くの専門家や関係者が参加されました。参加者の皆様は本校の教育活動を単なる支援にとどめず、生徒がより深く、そして実践的に学べるよう、専門的な視点からの助言やフィードバックを提供してくださいました。

生徒が授業で行う「哲学対話」体験

会議では、実際に生徒たちが「探究基礎」の授業で行っている「哲学対話」を参加者全員で体験しました。リードしたのは、哲学プラクティショナーであり本校の高校コーディネーターでもある「しほさん(安本志帆さん)」です。テーマは「学歴って本当に必要?」という“明確な正解のない問い”。

哲学対話では「コミュニティボール」というユニークなツールが使われます。ボールを持っている人だけが発言できるルールにより、発言者は落ち着いて自分の考えを話すことができ、聞き手もその言葉を丁寧に受け止めることができます。

私自身の感想ですが、普段の会議では発言するまでに頭の中で文章を整えてしまい、焦ってしまうことがあります。しかし、今回は手元にコミュニティボールがあることで「今が自分の番だ」と意識でき、じっくり考えてから発言することができました。周りの皆さんが真剣に耳を傾け、反応してくださるのも嬉しく、「もっと話したい」と自然に感じられたのが印象的でした。この体験を通して、生徒たちがどれほど自分の言葉で考えを深めているかを実感できました。

教育活動の報告と相談

この報告の中では、生徒たちが日頃取り組んでいる「探究学習」の具体的な進捗が紹介され、今後の活動に向けた地域や企業からの協力が求められました。本校は、生徒たちが実社会と接続した学びを経験し、社会課題の解決に貢献する力を育むことを重視しています。

・1年生の探究活動:課題発見と協働の実践

1年生の探究学習では、生徒たちが自らテーマを決め、そのテーマを深めるためにどこで調査を行うか考え、実際にアポイントメントを取る段階にあることが紹介されました。具体的な調査先としては、福岡国際交流センターやSOSこども村などが挙げられ、ヤングケアラーについて調べる班もあります。一方で、フードロスや異文化関係をテーマにした班では調査先の選定に悩みながら取り組んでいる様子も報告されました。

この報告に対して、特に地域という視点では南区役所様より、「フードロスなどの課題については区役所としても協力できることがありそうだ。ぜひもう少し詳しく教えて欲しい。」とおっしゃっていただきました。地域探究を進めるにあたり、現状抱えている課題を共有させていただきながら、会議終了後も熱心に本校教員の話に対して相談に乗ってくださっている姿が大変印象的でした。まさに、学校と地域が共創している一つの形であると感じました。

・2年生の探究活動:地域活性化への貢献

2年生は昨年度の調査発表からさらに一歩進み、「大橋地区魅力再発見マップ」の作成に取り組んでいることが紹介されました。このマップは、観光、食、文化芸術、福祉、地域、歴史、自然といった多様な分野に分かれ、生徒たちはそれぞれ興味のある分野で地図を作っていく予定です。

会議では、9月に予定しているフィールドワークに向けて、必要なアポイントメント取得を進めている状況も伝えられました。

・「未来をつくる高校生チャレンジ」への挑戦

本校の2年生鎌田悠世さんが、福岡県の「未来をつくる高校生チャレンジ」に採択されたことをご報告しました。この事業は、高校生自らが地域や社会の課題を発見し、その解決に向けて企画・実践する取り組みを支援するものです。応募は数多くあったものの、採択されるのはほんの数件に限られており、その中に鎌田さんの企画が選ばれたことは大きな成果です。今後は、専門家の伴走や助成を受けながら、プロジェクトをさらに発展させていく予定です。

(関連記事:荒れた畑に、未来の芽を!― 鎌田 悠世さんが福岡県「未来をつくる高校生チャレンジ」で堂々の採択! ― | 純真高等学校

来年度に向けた「高校生株式会社」についての説明

校長より現在校内で行われている「高校生株式会社」に関する議論のまとめについて説明が行われました。 その後、参加者の皆様から多くの質問を頂戴しました。
特に「普通科である純真高等学校が具体的にどのような事業を行うのか」や「生徒が毎年入れ替わる中での事業の継続性や責任の所在」といった、今後本校のビジョンを具体化するうえで重要な質問も多くありました。 今回いただいた質問やアドバイスを校内でも検討しながら具体化に向けて進めてまいります。

会議で感じたこと:生徒のための「共創」の精神

今回のコンソーシアム会議で特に印象的だったのは、参加者の皆さまが単に報告を聞くだけでなく、生徒や本校の取り組みに対して積極的に質問を投げかけ、具体的な助言を数多く寄せてくださったことです。探究活動での課題や、「高校生株式会社」の運営に関する懸念点など、多角的な視点から意見が交わされ、予定の時間では足りないほど充実した議論が展開されました。

こうした議論を通して、本校が掲げる「社会に開かれた教育」が、単なるスローガンではなく日々実践されていることを改めて実感しました。次世代を担う生徒たちの成長のために、大人たちが知恵を出し合い、共に考え、行動している――その姿こそが、まさに本校の教育の根幹にある「共創」の精神であると感じられました。

投稿者プロフィール

倉橋 美智子
倉橋 美智子「夢Link」サポーター
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