2026年最初の校長講話

あけましておめでとうございます。純真高校校長の小澤俊太郎です。
今年もよろしくお願いします!
今日から皆さんの学校生活も、また新たな気持ちでスタートします。
実は先日、学園の理事長から、私たち教職員に向けた新年の挨拶をいただきました。
基本的には教職員向けの言葉なのですが、その中で「これは高校生の皆さんにもぜひ知っておいてほしい」と思った考え方がありました。今日はその話をします。

それが、「コンフォートゾーン」という考え方です。
コンフォートゾーンとは、自分にとって“快適な領域”のことです。

人は誰でも、この居心地のよい場所にとどまりたいと思うものです。
例えば、外食に行っても、つい「いつものメニュー」を選ぶ。
服や髪型、メイクやファッションも、気に入った形ができると、そこから大きく変えるのは案外難しい。
こういう「変えない選択」は、ごく自然なことです。
しかし、成長とは、そこにとどまることではなく、その外側へ一歩踏み出すこと、つまり「挑戦」によって起こります。
授業で新しい分野を学ぶこともそうですし、3年生で言えば、これから進学・就職に向かうことも、まさに「未知」に踏み込む挑戦です。大変ですが、その分、学びと成長は大きい。
ただし、コンフォートゾーンの外に出ることは簡単ではありません。
大きなストレスがかかります。「やってみよう」と言うのは簡単でも、実際に行動するのは難しい。

それは、人間に「変わりたくない」という本能があるからです。

この働きを、ホメオスタシス、日本語で“恒常性”といいます。
たとえば、暑いときに汗をかき、寒いときに体が震える。
私たちは、無意識のうちに、自分を快適な状態に保とうとしています。
この機能があるからこそ、人はさまざまな環境で生きてこられました。

つまり、挑戦とは、本来備わっつまり、挑戦とは、本来備わっているこの本能に、あえて逆らう行為なのです。
だからこそ、しんどい。ストレスがかかる。これは皆さんが弱いからではなく、人間として自然な反応です。

一方で、周囲が変化しているのに、自分だけが変わらずにとどまり続ければ、いずれ社会の変化に対応できなくなります。
今、世の中はどんどん変わっています。例えば生成AIは、使う人・使わない人の差がまだあるかもしれませんが、これからは電気や水のように、生活や仕事の「インフラ」になると言われています。
環境がこれほど変わる中で、ずっと同じ場所に居続けるだけでは、仕事がなくなる、今の職業がなくなる、といったことも現実に起きています。
だからこそ、今この時代に「コンフォートゾーンから一歩出る力」が求められます。

では、コンフォートゾーンの外へ踏み出すために、何が必要なのでしょうか。

それが、「自己効力感」です。自己効力感とは、困難にぶつかったときに、「自分ならできる」と思える力です。
ある意味、根拠のない自信と言ってもよい。
正直、できるかどうかは分からない。
それでも、「できそうな気がする」と思えること。これは、とても大きな力です。
ただ、この力は、生まれつき強い人もいれば、そうでない人もいます。
日常の中で「やめておいたら」と言われたり、挑戦して失敗して「自分はできないんだ」と思う経験が積み重なると、自己効力感は下がっていきます。
そのまま大人になると、コンフォートゾーンから出る勇気がますます小さくなってしまう。
だから皆さんには、高校生活を通して、そして将来の大学・就職の場面でも、この自己効力感を高めながら、「一歩踏み出す」経験を重ねてほしいと思っています。

ここでよくあるのが、「準備ができたら挑戦しよう」という考え方です。
しかし、これでは動けないことが多い。世の中は準備している間にも変わってしまうし、「完璧に整うタイミング」は、ほとんど来ません。
知識でさえ、当たり前だった定説が変わることがあります。だから、「十分に整ってから」ではなく、「動きながら整える」ことが必要です。

では、自己効力感を高めるために、皆さんにできることは何か。
3つ具体的にお伝えします。

まず一つ目。
目標を「できる単位」に分解し、必ずやり切ること。
大きな目標だけを掲げて、途中で挫折するのは意味がありません。
今日、今週、今月で終えられるサイズにまで小さくし、確実に完遂する。
例えば運動習慣なら、「靴を履く」「決まった時間に起きる」「玄関まで行く」でもいい。
小さくても、できたという事実が積み上がると、「自分は前に進める」という感覚が育ちます。

二つ目。
他者の成功を、「比較」ではなく「モデル」として捉えること。
友人や先輩を見て「すごいな」と思うことは大切です。
そこで、「あの人だからできる」と終わらせずに、「何を、どうやったのか」を取り出して、自分の行動に移す。
共通点を探し、自分にできる形に翻訳する。そうすれば、「自分にも道がある」という認識が生まれます。

三つ目。
失敗の理由を、「能力」ではなく「戦略」で捉えること。
「向いていない」「自分はダメだ」で思考を止めると、そこで終わります。
うまくいかなかった原因を、方法、準備、判断に限定して検証する。
「次は、ここを変えればいい」と分かった瞬間、失敗は次の一歩の材料になります。

最後に、ここからは生徒の皆さんにではなく、僕たち教職員が考えるべきことです。

自己効力感は、偶然では育ちません。
学校には、皆さんの“成功体験を設計する”役割があります。

課題は、「到達可能だが、簡単すぎない」難度に設定する。
生徒の目標設定に対して、どうすれば実現できるかを本気で考え、スモールステップで達成を積み上げる構造をつくる。
評価も「よくできた」「すごい」だけでは意味がありません。
「何をどう工夫したのか」「どの判断が有効だったのか」を具体的に言語化して返す。
それによって、生徒は「自分は何ができるのか」を理解し、失敗した際の次の行動も明確になります。
そして何より、私たち大人が挑戦する姿を見せること。
コンフォートゾーンから一歩出るのは、皆さんだけではありません。私たち教職員も同じです。
生徒の皆さんのお手本になれるように、学校としても挑戦し、成長する一年にしていきたいと思います。

今年一年、皆さんにとって、そして本校にとって、素晴らしい年にしていきましょう。
ともに成長できる学校を目指して、今年も一緒に頑張っていきましょう。

2026年1月8日
校長 小澤俊太郎

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小澤 俊太郎
小澤 俊太郎
純真高等学校校長