探究- 純真高等学校(福岡市)

探究とは?? #1 - Inquiry-Based Learning

探究=「総合的な探究の時間」?

 探究(Inquiry-Based Learning)とは、一般に、生徒が自らの興味や好奇心に基づいて深く学び、問いを立て、調査・分析し、解決策を見つける学び方と捉えられています。そこでは、単なる情報の受け入れや暗記にとどまらず、学生が自己主導で学びのプロセスを進めることが重視され、批判的思考、問題解決能力、情報リテラシーなど、さまざまな学習スキルを身につけることができると言われます。
 また、日本においては、探究=「総合的な探究の時間」と捉えられることも多く、上記の内容を履修する科目、言ってみれば、他の科目とは違う「特別な科目」ないし「特別な時間」として捉えられることが多いように感じています。
 果たして、本当にこうした捉え方で良いのでしょうか。週に1時間、「特別な時間」を過ごし、生徒が自らの興味や好奇心に基づいて深く学び、問い掛け、調査し、解決策を見つける学び方をすることが、今求められていることなのでしょうか。
 純真高校は、そうは考えません。確かに、生徒の興味や好奇心、問いの設定や調査の仕方、解決方法の発見、プロセスの重視、単なる情報の受け入れや暗記にとどまらず、批判的思考、問題解決能力、情報リテラシーなど、さまざまな学習スキルを身につけること…こうした要素はとても大切なことだと思います。しかしながら、それを週に1時間することが求められていることなのでしょうか。あるいは、週に1時間、「特別な科目」を受講したところで、そうした力が身につくのでしょうか。純真高校は、そこに疑問を持ち、今、何が求められているのか。探究とは何なのか。小さな会議や大きな会議で議論を重ね、少しずつ形にすることができてきました。ここではそこで言語化できた内容をまた少しずつ共有できればと考えています。

探究はどこから来たか?
- Inquiry-Based Learning -

 探究は、Inquiry-Based Learningと英訳されることが多いです。その発祥には様々な議論があるようですが、Inquiry-Based Learningが注目されるようになったきっかけの一つにHigh Tech Highという学校があります。High tech Highが、Inquiry-Based Learningの普及にどのような役割を担ったかChat GPTに尋ねると以下のように説明してくれました。

High Tech High(ハイテック・ハイ)は、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴに位置する公立チャータースクールのネットワークであり、その教育アプローチは探究学習やプロジェクトベースの学びを中心とした革新的なモデルで知られています。以下に、High Tech Highが探究学習の普及にどのように貢献してきたかを詳しく説明します:

  1. 教育の革新的モデルとしての位置づけ:
    • High Tech Highは、1998年にリーダーであるローレンス・レイカーズ(Larry Rosenstock)によって設立されました。その教育アプローチは、従来の教室の枠を超えて、実世界の問題に取り組むプロジェクトベースの学びを中心に据えています。生徒たちは自らの興味や関心に基づいて、深い探究を行いながら学びを進めます。
  2. 学びの中心にある探究とプロジェクト:
    • High Tech Highのカリキュラムは、学習者が自らの学びのプロセスを主導し、問題解決や批判的思考を育むことに焦点を当てています。生徒たちは現実の問題に対して探究し、プロジェクトを通じて実践的なスキルを磨きます。例えば、科学技術、デザイン、エンジニアリング、芸術などの分野でのプロジェクトが多く取り組まれています。
  3. 教育者の支援と専門知識の共有:
    • High Tech Highは教育者やリーダーの育成にも力を入れており、探究学習やプロジェクトベースの学びの実践方法を共有し、教育の質を高めるための支援を提供しています。教育者は共同体として学び合い、最新の教育研究や実践を取り入れながら、持続的な教育改革を目指しています。
  4. 地域社会との連携と影響力の拡大:
    • High Tech Highは地域社会との強い連携を重視し、地域のニーズや産業との関係を考慮したプロジェクトを展開しています。また、その教育モデルは国内外で注目され、多くの教育機関や政策立案者に影響を与えています。特にSTEM教育や21世紀の学びのスキルを育成する取り組みとして、多くの賞賛を集めています。

High Tech Highの存在は、探究学習やプロジェクトベースの学びの普及において先駆的な役割を果たしており、その取り組みは現代の教育改革における重要なモデルの一つとされています。

生徒が自らの学びのプロセスを主導することや、問題解決や批判的思考を育むことに焦点を当てること、またその教育モデルが国内外で注目され、特に特にSTEM教育や21世紀の学びのスキルを育成する取り組みとして評価されたことなどが明確に記されています。こうしたChatGPTの応答が、その詳細まで正確なものかはここで議論しませんが、少なくとも概ねこのように捉えて良いのでしょう。遡っていけば、日本における探究学習も、High Tech Highという実際にある学校の具体的な取り組みが波及させた流れの中にあるのです。
 すると、探究=「総合的な学習の時間」という考え方は一旦、取り払って探究について考えた方が良いはずです。当時のアメリカに「「総合的な探究の時間」をしましょう」という取り決めはなかったようですし、もっと言えば、取り決めありきで、High Tech HighがInquiry-Based Learningという取り組みをしたわけでもないでしょう。生徒がより豊かな未来を描けるようには、どのようにしたら良いのか考え方結果が、Inquiry-Based Learningという実践につながったのではないでしょうか。

探究=「特別な時間」?

 それでは、探究=「特別な時間」、即ち探究を他とは違った特別なことをする時間と捉える見方は、どうでしょうか。これについても疑問が残ります。
 というのも、探究とは、問い立てと問題解決に至るまでのプロセスが重要視されますが、我々が行っているのは学問だからです。
 学問には、そもそも読んで字の如く問いがあるはずですし、問いのない学問などあり得ません。また、結果というより、そこに至るまでの過程が大事ということは、教員となっている私たちの世代が受けてきた教育の中でも、常々言われてきたことです。
 すると、探究というのは、全く新しいことというよりも、これまで行ってきた教育の一つの側面をより強調した学びと捉えた方がよいのではないでしょうか。他とは違った特別なことをする時間というよりも、どの教科学習で行われるものであり、その本質に関わることだからこそ、どの教科でも大切にすべきことなのではないでしょうか。そして、そうした教科ごとの探究をかけ合わせる時間、即ち総合する時間が「総合的な探究時間」というように整理した方がよいのではないでしょうか。
 純真高校としては、「総合的な探究の時間」を中心に、各教科を配置する図のようなイメージで、探究学習を捉えるのが良いのではないかと考えます。 また、各教科の授業も同じ構造で捉えるのが良いだろうと考えています。つまり、各教科でも問いのある探究的な学習を中心とし、その周辺に基礎的な知識・技能の習得が配置されるイメージで教科学習を捉えるということです。
 長々と書いてしまい、申し訳ありません。これからも少しずつではありますが、純真高校でのプロセスないし成果を共有できたらと考えております。


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