純真高校英語科の岡田です。
本校では、授業や業務をDX化しています。ただデジタルを使っていくのではなく、効率よく分析し、効果的にフィードバックをし、業務効率を上げる、生徒の皆さんの学習の優先順位を立てる。このようなことをデータをみとりながら進めています。まだまだ個人差はありますが、学校全体として取り組んでいるところです。
8月22日を持って今年度の夏期特別講座が終了しました。受験対策に特化する講座が多い中で、担当クラスでどういった効果があったのかを分析しました。
夏期特別講座とは
詳しくはこちらをご覧ください。個別に最適化された教育の提供をするための特別プログラムといったものです。校内では「課外」と呼ばれていますが、「特別講座」というポジションで展開しています。
今回、講座のゴールを決める際に、完全に受験特化して展開してみよう!と考え、純真高校で初めて予備校的な授業をしました。元河合塾で教鞭をとっていただけに予備校講師に戻った気分でした。それだけに受験対策はプロフェッショナル級に自信をもって提供しているので、短期講座ではこれまで知識レベルの成果は全てあげることができました。ところが、速読力は ...。そこで、今回は「読解スピード」がどう変化するのかをターゲットにすることにしました。受験だけに特化した授業構成で「読解」スピードはどうなるのか。果たして...。
DX化によって分かった講座の成果【速読力篇】
担当クラスの速読力推移データです。ロイロノートまたはGoogle Formsで収集し、データを自動分析できるように関数を組んでいます。
イエローに注目してみましょう。英語による音声活動と言語活動を重視した探究的型授業をしていた1学期は順調に速読力が伸びていました。ところが、受験対策特化をし、日本語のみの解説授業に切り替えた結果、夏期講座9日間の成果は、きれいに落ちてしまいました。1学期最後には英検2級〜準1級でも対応できるスピード感だったのが、英検準2級のレベルに逆戻り。
一方で、ピンク。これは家庭学習でも音読をしていた生徒の推移です。ブルーは学校にいる間は音読をコツコツしていた生徒です。どちらも着実に伸びているのがわかります。
教員としての学び
知識レベルはあげられる、それなりの成果もあがる、しかし、肝心な読解スピードが上げきれない。これが夏期講座で受験対策特化してみて分かったことです。
夏休み中の授業時間数の問題ももちろんあります(9日間だけという夢のような夏)が、家庭学習をコツコツ行えた生徒は順調に伸びています。教員の仕事は、自立した学習者を育てること、そして、ワクワクする言語活動にあふれた授業をしつつも、DXを活用しつつ、効果的に受験対策もし、成果を上げる。授業の構成をさらに工夫する必要があると実感しました。
最新の英語科学では、インプットスキルとアウトプットスキルだけではなく、インプットスキル同士も相互に関連しているため、例えば、「聞く」(リスニング)ことが「読む」(リーディング)のスキルを高めてくれることが分かっています。今回の講座では、「土台」の3要素【文法は土台にあたるため、解説に終止してしまうと、インプットもアウトプットもない授業になってしまうんですね】と「読む」にしか焦点をあてていないため、そもそも「インプット」の量も「アウトプット」の量も大幅に不足していました。それが、速読力低下に原因だと分析しています。
データをみとってみてはじめて分かったこの課題をしっかりと修正して、2学期に臨みたい、2学期で速読力を取り戻したい!と思います。