「理数探究」「理数探究基礎」とは?
文部科学省では、高校生が数学や理科の枠を越えて総合的に課題を探究する新しい学びを推進しています。これが「理数探究」です。暗記や計算だけではなく、「どうしてこうなるの?」という疑問を起点に、観察・実験・データ分析などを通じて答えを見いだすことで、これからの社会で求められる論理的思考力や問題解決力を身につけようという考え方です。
純真高校でも、この方針を取り入れながら、“数学と理科を組み合わせた探究学習”を「理数探究」という科目として独自に展開していきます。生徒自身が発見した「なぜ?」を大切にし、データを根拠に考える姿勢や協働して課題を解決する力を育むことを目指します。
「理数探究」へスムーズに取り組むための導入科目として、「理数探究基礎」も新設します。ここでは探究の流れや理数的な見方・考え方を体験的に学び、本格的な探究学習に向けた下地を築きます。詳しい内容は記事後半でご紹介します。
純真高校の「理数探究」
1. 数学と理科の視点を掛け合わせる
物理や化学などの理科分野と、グラフ・統計・モデル化といった数学の手法を結びつけ、横断的なテーマを探究しています。
たとえば、「音の大きさはどう測れるのか?」「食品の成分はどんなふうに変化するのか?」「自然界に潜む不思議な法則は何だろう?」といった問いに対して、観察や実験の視点(理科)と、データを整理・分析する視点(数学)を合わせることで、より多角的に物事を捉える力を育みます。
2. 身近な課題から未来につながる学びへ
理数分野の探究というと「難しそう」と感じる方もいるかもしれませんが、本校では日常生活や身近な社会課題に目を向けています。身近であればこそ、生徒の興味・関心が高まり、主体的に学ぶ意欲を引き出します。そこから一歩進んで、社会全体の問題解決や先端技術につながるような視点を加えることで、将来のキャリアや大学での学びにも活かせる力を育てていきます。
3. 探究のプロセスを重視
「理数探究」では、課題を見つける → 観察・実験や調査 → 分析・考察 → 発表 → 振り返りという流れを何度も体験します。
結果の正しさよりも、仮説を立てて確かめるプロセスや、仲間と意見を交わす中で考えを深める体験を大切にしています。たとえ最初の仮説が外れていても、なぜ外れたかを考えることが次の学びにつながるからです。
4. ICTやAIも活用できる柔軟な環境
パソコンやタブレットを使った表計算ソフト、統計ソフトなどはもちろん、AIによるデータ解析を試みることも可能です。特別な機器をたくさんそろえなくても、身近なスマートフォンアプリやオンラインツールを活用して、データ収集・分析を行います。探究のテーマや生徒の関心に合わせ、柔軟に活動をデザインできるのが本校「理数探究」の強みです。
どんな力が身につくの?
論理的思考力・問題解決力
「どうしてそうなるのか」を追求するうちに、考えを筋道立てて組み立てる力が育まれます。未知の課題や社会問題に対しても、冷静にデータを活用して解決の糸口を探す力を伸ばします。
コミュニケーション力・協働力
グループでの探究や発表の機会が多いため、メンバーと意見を交換しながら協力して課題を解決する力が高まります。成果をわかりやすくまとめ、他者に伝えるプレゼンテーション力も身につきます。
情報活用能力と探究倫理
観察や調査の際は、データの正確さや公正さを守る必要があります。著作権や個人情報保護にも配慮するなど、責任ある研究活動に欠かせないリテラシーを学べます。
理数探究でのテーマ例
- 日常音の可視化と騒音調査
- スマートフォンのアプリを使い、学校や家の周囲の音の大きさを数値で可視化。
- 時間帯や場所の違いを分析し、騒音対策や改善策を考える。
- 音の波形や周波数の分析にも発展可能。
- 日常の調味料や食材の成分比較
- 塩分や糖度を簡易測定キットなどで調べ、食生活と健康との関係を探究。
- ラベル表示の数値と実測値の違いを比較し、なぜ差があるのかを考察。
- 発酵食品の微生物や製造工程にも興味が広がる。
- 生物や自然現象との結び付き(黄金比など)
- 植物や貝殻の形状を測って「黄金比」や「フィボナッチ数」と関係があるのか検証。
- 建築や芸術作品と比較し、人間の文化と自然がどのように関係しているかを考える。
- シンプルな測定や写真分析だけでも意外な発見が得られる。
「理数探究基礎」の科目について
「理数探究基礎」は、本格的な探究活動を行う前に「探究の進め方」や「理数的な思考の土台」をしっかりと身につけるための科目です。1年次の早期段階で学ぶことにより、2年次以降の「理数探究」でより深い課題や高度な分析に挑戦できるようサポートします。
1. 探究の流れを段階的に体験
課題設定→情報収集→観察・実験→分析→発表→振り返り
上記のような一連のプロセスを、小規模なテーマで何度も回すことで、探究の型を身につけます。最初のうちは教員から課題を与えられたり、簡単な実験から始めたりするため、探究初心者でも安心して取り組めます。
2. 理数的な見方・考え方を伸ばす
- 観察や実験の着眼点を学ぶ
「どこを見ればデータが取れるのか?」「どう記録すれば信頼度を高められるのか?」といった理科的視点を養います。 - データの整理やグラフ化を身につける
グラフや統計など数学的な手法を使い、集めた情報を多角的に分析する力を育みます。
3. 本格的な「理数探究」へスムーズにつなげる
- 「理数探究基礎」で培った探究の流れや理数的スキルを活かして、2年次以降の「理数探究」では、より複雑なテーマや大きな課題にチャレンジしていきます。
- 基礎科目での失敗や発見が糧となり、自らテーマを設定して主体的に取り組む姿勢が育ちます。
これからの理数探究に向けて
このように純真高校の「理数探究」では、数学と理科の視点を組み合わせ、身近な疑問や社会の課題を科学的に捉える力を育んでいきます。さらに、自分で立てた仮説を仲間と確かめ合ううちに、コミュニケーション力や論理的思考力も自然と鍛えられます。「理数探究基礎」では、その前段階として探究の流れや理数的な見方・考え方を実践的に学びます。
生徒たちは、課題を見つけて取り組む中で、論理的思考力・問題解決力・コミュニケーション力を培い、将来の理系分野での研究や社会での課題解決に活かせる基盤を築いていきます。
純真高校での学びを通して未来の可能性を広げてみませんか?